経年劣化や錆で傷んだ鋳物(キャスト)製の風見鶏は、部材の状態に合わせて補強加工・延長加工を行い、さらに錆取り〜防錆処理〜塗装を適切に行うことで、見た目と耐久性を大きく回復できます。本記事では、**「細い部分を太くしたい」「全長を延長したい(長さ調整もしたい)」「錆取りと塗装をやり直したい」**というご要望に対して、実際に行った修復工程を写真とあわせて解説します。
今回のご依頼内容
・細いところを太く変更
・長さを延長したい(パイプ追加、長さ調整もできるように)
・サビ取りと塗装
実例: 修復の全体工程
- 初期検査
- 清掃・錆び取り・研磨
- 修正加工
- 塗装仕上げ
- 最終確認と商品お届け
① 初期検査
損傷状況の全体把握と修理方針の策定
修理作業に入る前に、対象物の状態を正確に把握する最初の重要な工程です。表面に見える損傷だけでなく、構造的な問題や隠れた腐食、変形などがないかを入念にチェックします。この段階での正確な診断が、見落としのない確実な修理と、無駄のない最適な修理プランの提案につながります。熟練の目で、錆の進行度合いや素材の状態を多角的に評価します。
詳細な現状確認:錆の深さ、腐食範囲、歪みやクラック(ひび割れ)の有無を徹底的に調査。
最適な修理プランの立案:診断結果に基づき、修理が必要な箇所と最適な工法(補修で済むか、部品交換が必要かなど)を明確にします。
【今回の実際の作業】
視覚検査
- 全体を目視で確認し、塗装の剥がれ、錆、変色などの劣化箇所を特定。
- 特に継ぎ目など、劣化しやすい部分を入念にチェック。
機能検査
- 接続部の動作を確認し、スムーズに動作するかをチェック。
構造検査
- 溶接部やボルト・ナットの状態を確認し、緩みや劣化がないかを確認します。
表面検査
- 表面の汚れや付着物を確認し、清掃が必要な箇所を特定。
- 塗装面の状態を詳しく確認し、再塗装が必要な範囲を判断。
錆検査
- 各部を詳細に確認し、錆が発生している箇所を特定します。
- 錆の進行度を確認し、適切な処置方法を検討。
② 清掃・錆び取り・研磨
汚れや下地塗装の除去、錆び処理など
修理の品質と耐久性を左右する、最も重要かつ基本となる工程です。 表面に見えている錆だけでなく、金属内部に進行している錆の根源まで徹底的に除去しなければ、塗装後に短期間で錆が再発してしまいます。損傷の状態や金属の種類に応じて、サンドブラスト、ワイヤーブラシ、専用ケレン工具などを最適に使い分け、健全な金属面が出るまで丁寧に研磨します。
徹底的なケレン作業: 浮き錆や古い塗膜を完全に除去します。
最適な素地調整: 塗料の密着性を高めるため、表面の状態を整えます。
表面の汚れ除去
- 全体をブロワーで表面のほこりや大まかな汚れを取り除く。
- 汚れがひどい場合は中性洗剤を使用し、スポンジや柔らかいブラシでこびりついた汚れを丁寧に洗い流し。
錆の除去
- 錆が発生している箇所を金属ブラシやサンドペーパーで磨き、錆を完全に除去。
- 錆の進行が深い場合は、専用の錆取り剤を使用して処理。
溝や隙間の清掃
- 溝や隙間に詰まった汚れや異物を細かなブラシやエアダスターを使用して取り除く。
- 特に回転部などの清掃を丁寧に行い、動作がスムーズになるように。
高圧洗浄
- 必要に応じて、高圧洗浄機を使用して頑固な汚れや付着物を除去。
- 高圧洗浄後は、水分をしっかり拭き取り、乾燥。
仕上げ清掃
- 最後に、マイクロファイバークロスなどを使用して全体を拭き上げ、細かな汚れや水滴を取り除きます。
- 清掃が完了した後、状態を再確認し、次のメンテナンス作業に備えます。
③ 部品の交換・溶接修理
本体修繕及び各種パーツの交換作業
錆による腐食が著しく進行し、穴あきや欠損が発生している場合に行う根本的な修理工程です。 研磨やパテ埋めだけでは強度が確保できない重度の損傷に対して、物理的な修復を行います。
切り継ぎ板金溶接: 腐食部を切除し、新規金属パネルを高い技術で溶接。
強度と安全性の回復: 見た目だけでなく、構造的な強度を取り戻す修理。
【今回の実際の作業】
不要部をカットし溶接作業
- サイズに合う材料を調達の上、加工溶接しご希望に対応
④ 防錆処理・再塗装・最終仕上げ
下処理をした後、全体を塗装して仕上げ
下地処理で整えた金属面を長期的に保護し、新車時のような美観を取り戻す工程です。 単に色を塗るだけではなく、「いかに将来の錆を防ぐか」に重点を置いた多層的な処理を行います。
多層防錆システム: 錆の再発を防ぐ専用プライマーを厳選して使用。
高品質な仕上げ塗装: 耐候性に優れた塗料による、美しく強靭な仕上がり。
【今回の実際の作業】
下地処理
- 塗装前に、全体をサンドペーパーや研磨パッドで軽く研磨し、表面を滑らかに。
- 研磨後の粉塵や汚れをしっかりと取り除きます。エアブロワーやクロスを使用して、表面を清潔に。
プライマーの塗布
- 金属用のプライマーを均一に塗布し、錆の発生を防ぎ、塗料の密着性を高める。
- プライマーが完全に乾燥するまで、指示された乾燥時間を守る。
塗装の準備
- 使用する塗料の種類や色を確認し、適切な道具(ブラシ、ローラー、スプレーガンなど)を準備。
- 塗装エリアを養生テープやシートで保護し、不要な部分に塗料が付着しないようにケア。
塗装の実施
- プライマーが完全に乾燥した後、ブラックの塗料を均一に塗布。
- 一度に厚く塗るのではなく、薄く均一に塗り、必要に応じて複数回の重ね塗りを行います。各層の間に適切な乾燥時間を確保。
乾燥と確認
- 最終の塗装層が乾燥するまで、指示された乾燥時間を厳守。
- 塗装が完全に乾燥した後、塗装面にムラや不均一がないかを確認。
仕上げの調整
- 塗装後に必要な微調整を行います。塗装面に気泡やホコリが付着している場合は、軽く研磨して滑らかに。
- 最終的な清掃を行い、全体を拭き上げて仕上げ。
最終確認
- 塗装が完了したら、動作を再度確認し、問題がないかをチェック。
- 必要に応じて、塗装の補修。
⑤ 最終確認と商品お届け
画像報告の上、商品をお届け
▼お客様からのコメント
本日受け取りました。丁寧に仕上がりでサイズもバッチリでした!とても満足しております。メンテナンス用の塗料と説明書も同封頂いてありがとうございます。この度は丁寧にご対応頂いたこと、とても感謝しております。また何かありました時はよろしくお願い致します。
















