ロートアイアンとは鉄鍛造の美しさ|アイアン素材の性質と特徴

アイアンとは鉄の繊細な美と堅牢さが融合した魅力的な人気素材

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◇ロートアイアン素材の特徴

ロートアイアンは、加工しやすい重厚感あふれる素材「鉄」を使った「鍛鉄」と呼ばれる鉄を主成分とした建築資材の一種で、その名の通り鋳造(いず造)された鉄の製品です。鉄は強度があり、錆びにくいという特性を持っているため、建築物の構造材や装飾材として古くから用いられています。また、錆が出るとその表面に「錆皮(さびがわ)」と呼ばれる黒い皮膜ができ、問題の原因となる一方で、それが独特の風合いを生み出し、多くの人々に愛されています。ただし、経年劣化によって表面にさびが出てきたり、定期的なメンテナンスが必要になることが欠点とされています。弊社技術では、下地亜鉛メッキ処理等が施されているため、耐久性やメンテナンス性の向上が図られ、ほとんどメンテナンスフリーになりました。

装飾性
5/5
堅牢製
5/5
コスパ
5/5
メンテ
3.5/5
  • 装飾が多くデザインの表現性が高い
  • アルミより強度が高く価格が安い

◆ 鉄の鍛造とは|ロートアイアンはどのように作られる?

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アイアンパーツの製作工程

アイアンの各パーツは図面を元にひとつづつ丁寧にハンドメイドで製作されます。鍛鉄は熱可塑性があるため、熱を加えることで再度加工することができます。このため、鍛鉄製品は、独自のデザイン性を生み出しやすく、オーダーメイドでの製作にも適しています。

① 熱する
② 叩く
③ 曲げる
④ 溶接
⑤ 研磨
⑥ 亜鉛メッキ
⑦ 塗装
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パーツ完成

工程①:鉄を炉で熱する

鉄を熱して加工する際には、鉄を熱する温度や時間、冷却の方法などを調整しながら、複数の工程に分けて熱処理を行います。たとえば、鍛造を行う場合には、鉄を初めに加熱して柔らかくした後、繰り返し加熱しながらハンマーやプレス機で打ち延ばし、形状を整えます。このような場合、鉄は何度も繰り返し熱されます。

工程②:熱した鉄を叩く

「鍛造(たんぞう)」と呼ばれる方法で、鉄を初めに加熱して柔らかくし、ハンマーやプレス機で打ち延ばして所定の形状に加工します。この際、打ち延ばす方向や角度、力の強さなどを調整しながら、鉄を繰り返し打ち延ばしていくことで、独特の模様や表情を生み出します。

工程③:鉄を曲げる

「曲げ加工機」は、ロートアイアンの棒材を曲げるための専用機械で、棒材を挟んでローラーを回転させることで曲げることができます。曲げ加工機を使用する場合、曲げる部位の強度は鍛造に比べて劣るため、強度が必要な場合は鍛造による曲げ加工を行うことが一般的です。

工程④:鉄の溶接加工

ロートアイアンの溶接加工には「ガス溶接」「アーク溶接」「TIG溶接」があり、これらの溶接加工技術を用いて、ロートアイアン製品を作成することができます。ただし、ロートアイアンの溶接加工は、素材の特性や厚み、接合部の形状によって作業が難しいことがあります。そのため、熟練の技術者が必要とされます。

工程⑤:表面を綺麗に仕上げる研磨

ロートアイアンの研磨作業は、鉄の表面を綺麗に仕上げるために行われます。研削、研磨、研削後に研磨剤による仕上げをします。研磨作業は素材の硬度や表面加工状態によって適切な研磨剤や方法を選択する必要があります。また、ロートアイアンの場合、表面を磨くことで表面のオリジナルな質感や味わいが失われるため、その点についても考慮しながら製作します。

工程⑥:亜鉛メッキ下地処理

ロートアイアン製品には、錆や腐食を防止するために亜鉛メッキが施される場合があります。亜鉛メッキには、鉄と亜鉛の間に保護膜を形成し、鉄を錆や腐食から守るという効果があります。また、外観にも美しい艶が出るため、ロートアイアン製品にとっては機能的かつデザイン的なメリットがあります。

工程⑦:下地が出来たら塗装の工程へ

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パーツ完成

こうして各パーツが工房にて、ひとつづつ丁寧に職人によって作られ、次の商品化工程へ進み取っ手等のパーツが組み込まれたりや微調整などの検品を行った上で、商品が完成されます。

鉄好きの人向け情報|「鉄」をもっと深堀り!

◆ロートアイアンの歴史と起源

◇古代の鍛造技術と初期の鉄製品

ロートアイアンの歴史については諸説ありますが、一番古いモノでは紀元前3500年前とも言われ色々なスタイルに発展し、ヨーロッパの文化として13世紀頃に現在のような装飾性の高いモノになったと言われます。そんな古い歴史を持つロートアイアンは現在でも進化しながら人々に愛される素材です。

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◇鉄工業の興隆とロートアイアンの普及

鉄工業の興隆とともに、ロートアイアンが一般的な素材として広く普及した背景にはいくつかの要因が絡んでいます。

効率的な製造技術の進展:

産業革命期において、製造技術が急速に進歩し新たな機械や生産プロセスにより、効率的かつ大量生産が可能になりました。これにより、ロートアイアンの製造も効率的に行えるようになり、一般の人々にも手ごろな価格で提供できるようになりました。

建築およびインフラストラクチャーの需要:

19世紀から20世紀初頭にかけて、都市化や工業化が進展し、大量の建築やインフラストラクチャーが必要とされました。門、手すり、鉄道の構造物など、これらの需要に応えるためにロートアイアンが広く使用されました。その美的なデザインと構造的な強度が重宝されました。

社会的・経済的な変化への対応:

として産業革命は社会や経済に大きな変革をもたらしました。これに伴い、新たな需要に対応するためには柔軟で効率的な素材が求められました。ロートアイアンはその特性から、多岐にわたる製品に利用され、需要の多様性に応えることができました。装飾的な価値と審美性が注目され、ロートアイアンは単なる構造材料以上に、その美的なデザインや模様が重要視されました。これにより、建築やデザインの分野での需要が高まり、一般の人々にも手の届く素材となりました。

◆そもそも鉄とは??|鉄の構造をもっと知ろう!

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◇地球はほとんど鉄!?

約46億年前に地球を形成した鉄は人類文明に欠かせない素材であり生物の進化や人間の生命に不可欠な金属です。鉄は、宇宙の誕生と同時に始まった核融合の姿で構造的に最も安定した元素と言われ、地球重量の約30%を占め他の金属と比べて格段に多く、地球そのものが鉄と言っても過言ではありません。

◇鉄の原子構造

鉄(Fe)の原子番号は26で、元素記号はFeです。鉄は周期表でd遷移金属に位置しており、電子配置はAr 3d^6 4s^2です。これは、鉄の原子核の周りに6つの電子が3つのd軌道に、そして2つの電子が4s軌道に存在していることを示しています。

◇鉄の結晶構造

鉄は室温と常圧で安定している場合、結晶構造として体心立方格子をとります。これは、鉄の原子が立方格子の頂点と体心(立方格子の中央)に位置している構造です。鉄の結晶構造は、高温では面心立方格子(fcc構造)に変化することもありますが、通常の条件下では体心立方格子が一般的です。

◇鉄の分子構造

鉄は単体として分子を形成する元素ではありません。単体の鉄は通常、原子同士が結びついた分子として存在せず、金属結合によって結合した結晶構造を持ちます。鉄は他の元素との結合においても重要な役割を果たします。例えば、鉄は酸素と結合して酸化鉄(Fe₂O₃)や酸化鉄(Fe₃O₄)などの酸化物を形成します。これらの化合物は鉄の分子構造を含み、その特性は鉄の原子が他の元素とどのように相互作用するかに依存します。簡単に言えば、鉄の結晶構造は原子がどのように配置され、結合しているかを示し、それが鉄の物理的特性や化学的特性に影響を与えています。